健康診断の読解マニュアル⑰　～　尿酸　～

今回は尿酸値の値について解説する。

尿酸値は1デシリットル中に尿酸が何ミリグラム溶け込んでいるかの基準で

尿酸値の基準

男性：3.8mg/dL  ～　7.5mg/dL

女性：2.4mg/dL ～　5.8mg/dL

というのが健診の一般的な基準だが、

「公益財団　痛風・尿酸財団」なるものがあり、

そこのホームページによると、前述数字はあくまで参考値で、男女ともに7.0mg/dL以下で通常は考えればよいとのこと。理由は「血漿中に溶ける尿酸の量の上限値」ということで明確だ。つまり7.0mg/dLを超えた尿酸は血液に溶けず、沈殿・結晶化して痛風を引き起こすということだ。

****************

尿酸とは

———————–

一般的に、尿酸値は痛風の可能性を推し量るのにつかわれている。

健康食品にも「尿酸値が下がる！！」と謳っているものも多くある。

尿酸とは、タンパク質を分解する過程で発生する

いわゆる「残りカス」として認知されてきた。

扱いとしては「クレアチニン」と同じ扱いである。

 

ただ、

クレアチニンはほどんど尿で排泄されるのに

尿酸は、その80％は「再吸収」されるのだ。

 

なぜ？

これについては、まだ確定的な説はないようだが、

実は、カスではなく、結構重要な役割があるんではないか？と言われ始めている。

 

********************

壮大なロマン

—————————–

この尿酸をWikipediaで調べると、

霊長類の分派から話が始まる。

検査数値を調べていて初めてのことだ。

 

我々人間の祖先、サル系の霊長類が長い長い歴史を経て、

尿酸を「分解しなくなった」

 

霊長類以外の哺乳類をはじめ魚類から鳥類に至るまで

尿酸を無毒の状態まで分解する能力を有する。

また、さらに進んだ霊長類では、体の酸化を防ぐ「ビタミンＣ」が

進化の過程で体内で合成「できなくなった」というのだ。

 

なぜか。

それは、ビタミンＣよりはるかに強力な抗酸化作用を尿酸が持っているので

ビタミンＣの合成の必要が無くなった、と考えらえる。

 

つまり、体内で悪さをすると言われる「活性酸素」を強力に除去する作用があり

脳にものすごいエネルギーが必要な霊長類は、多くの活性酸素を生み

それを打ち消すために尿酸が利用され、

抗酸化作用が弱いビタミンＣの形成や尿酸を分解する機能が

「退化」

していったと考えると、

80％再吸収されるのも腑に落ちる。

 

しかしながら、尿酸は細胞内にいるときは

活性酸素を活性化させる働きも確認されていて

明確な結論は出ていない。

ただ、少なすぎてもいけないのではないか、、、

という考えが生じてきているということだ。

**********************

高尿酸症と低尿酸症

——————————-

基本的に、このマニュアルでは

数値が示す内容の説明のみで

そこから考えらる病名などについては

あまり明確にしないというのがコンセプトだ。

 

それでも、尿酸値が高いと

針状の結晶ができて関節部分に溜まる。

「痛風」になることは間違いがないので、

尿酸値が高い方は気を付けよう。

知人にも痛風にかかったものがいるが、

相当痛いらしい。

そういえば、その人は尿結石にもなっていたので

尿酸値が非常に高かったのだろう。

 

尿酸値が低い場合だが、これまでは「カス」扱いだったので

明確な指針が示されていなかったが、（低尿酸症という病名がつくために）

近年、低尿酸も管理すべきという動きがある。

主に、腎臓の再吸収の機能が失われる結果として低尿酸になることがあるため

腎臓の疾患に注目する形だが、

血液中の濃度が薄くなることによる弊害の研究はまだ途上だ。

きっと、今後発見のある分野だと思う。

 

****************************

まとめ

—————————————-

尿酸値が高いまま放置してると、

自分に跳ね返ってくる。

関節に針状の石ができるのだ。

想像しただけで痛い。

ただ、クレアチニンと違い、

体内に一定濃度に保たれていることから

やはり、極端にプリン体を排除するとか

低ければ低いほどいいという健康療法や食生活も

未知の分野だけに気を付けた方がいいと思う。

何事も定期健康診断で数値をチェックしながら、

ほどほどに！

ということだ。