血液像
白血球の中身
白血球はいろいろな種類があるという話をしたが、
血液像は白血球を染色し、もう少し具体的に割合を調べていく検査です。
白血球は
・好中球(こうちゅうきゅう)
・好塩基球(こうえんききゅう)
・好酸球(こうえんききゅう)
・リンパ球
・単球
の5種類があります。
それぞれ、詳しく見ていくまえに、まず
「血液像」という検査の中身について
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血液像とはどんな検査?
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血液像とは血液を顕微鏡で見て確認する検査全般を言い
今回は「白血球の末梢血液像」と言うことだ
作業は400倍の顕微鏡で「目視」だそうだ。
細菌は大型の分析機械でやってしまうらしいが
白血球は、人間が数える。
単位は% それぞれの形を数えて、割合を計算する。
好中球(こうさんきゅう)
白血球全体の中の 40%~75%
好中球とは、白血球の一種であり、主に細菌や真菌などの病原体を攻撃する免疫細胞です。
好中球は、骨髄で生成された後、血液やリンパ液を通じて体内の感染巣に移動し、
病原体を攻撃するために炎症反応を引き起こします。炎症反応について、もう少し詳しく説明すると
炎症反応は、体の異常を修復するための過程であり、外傷や感染などの刺激によって引き起こされます。
この過程で、血管や組織の免疫細胞が病原体と戦うために、炎症を引き起こすのです。炎症反応が起こると、好中球が病原体を攻撃するために集まります。
好中球は、炎症現場に到達すると、病原体を飲み込むことで攻撃します。
この際に、好中球は病原体を包み込むために、自身の細胞膜を変形させます。
この変形によって、好中球は病原体を完全に包み込んで消化することができます。また、炎症現場には、他の免疫細胞や炎症反応を抑えるための抗炎症物質が集まります。
このように、炎症反応は体の中で調整され、バランスを保ちながら病原体を攻撃します。好中球は、以下のような特徴を持ちます。
- 核を持つ細胞であるため、細胞内に核があることが特徴的です。
- グラム染色によって、細胞壁が陽性染色する細菌に対して、特に強い攻撃力を持ちます。
- 細胞外の細菌を攻撃する際には、細胞外の抗体と共に作用することで、より効果的な攻撃ができます。
好中球は、炎症反応を引き起こすことで病原体を攻撃するため、
炎症状態が続くと、好中球が過剰に放出されることがあります。
この場合、好中球が増加しすぎることで、炎症反応が強くなり、身体に悪影響を与える可能性があります。また、好中球が低下することもあります。
これは、化学療法や放射線療法などの治療によって、骨髄がダメージを受けた場合や、
先天的な好中球減少症などが原因となる場合があります。
好中球の減少により、身体が感染症に対して十分な免疫力を持てなくなり、
感染症を引き起こしやすくなることがあります。好中球の研究
- “Neutrophil extracellular traps promote inflammation and development of hepatocellular carcinoma in non-alcoholic fatty liver disease” (2021)
この論文は、肥満や高脂血症などが原因で発症する非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)において、好中球が放出する「細胞外トラップ(NETs)」が、炎症反応を促進し、肝細胞ががん化するメカニズムを解明したものです。
- “Neutrophil extracellular traps drive inflammatory pathogenesis in lupus nephritis by activating dendritic cells” (2020)
この論文は、自己免疫疾患の一つであるループス腎炎において、好中球が放出するNETsが、炎症を引き起こすメカニズムを解明したものです。また、この論文では、NETsによって活性化された樹状細胞が、病原体に対する免疫応答を調節することが示されています。
以上が、最近の好中球に関する研究論文の例です。
好中球は、身体の免疫反応に重要な役割を果たす細胞であり、様々な疾患や病気と密接に関連していることが分かっています。
今後の研究によって、より詳細なメカニズムが解明され、新しい治療法や予防法が開発されることが期待されています。
好塩基球(こうえんききゅう)
白血球中の0~0.5%
好塩基球は、白血球の一種であり、
細菌やウイルスなどの感染症やアレルギー疾患、
寄生虫感染などの免疫反応に関与する細胞です。好塩基球は、酸性染色液に対して塩基性に染色することからその名が付けられました。
好塩基球は、主に血管外組織や粘膜組織に存在し、
感染症やアレルギー疾患、寄生虫感染などによって、炎症反応が起こると、
血管外組織に移動して炎症現場に集まります。
好塩基球は、炎症現場で病原体や異物を攻撃するために、
炎症反応を引き起こします。また、好塩基球は、細胞外の寄生虫やアレルゲンを攻撃する際に、
特有の分泌物を放出し、炎症反応を誘導します。
好酸球(こうさんきゅう)
白血球中0.5%~13%
好酸球もまた、白血球の一種であり、主にアレルギー疾患や寄生虫感染などの免疫反応に関与する細胞です。
好酸球は、酸性染色液に対して酸性に染色することからその名が付けられました。好酸球は、主に血管外組織や粘膜組織に存在し、
炎症反応が起こると、血管外組織に移動して炎症現場に集まります。
好酸球は、アレルゲンに対する即時型アレルギー反応に関与し、
炎症反応を引き起こすことで、アレルゲンを攻撃します。
また、好酸球は、寄生虫感染などの免疫反応にも関与し、
寄生虫を攻撃するために分泌物を放出します。好塩基球や好酸球は主にアレルギー疾患や寄生虫感染などの免疫反応に関与する細胞であり、
それぞれ特有の分泌物を放出し、炎症反応を誘導することで、免疫反応を調節します。
ただし、好塩基球や好酸球が過剰に放出されると、炎症反応が強くなり、身体に悪影響を与えることがあります。例えば、好塩基球が過剰に放出されると、
アレルギー疾患や自己免疫疾患などの炎症反応が強くなり、
組織や器官に損傷を与えることがあります。
一方、好酸球が過剰に放出されると、
アレルギー疾患や寄生虫感染などの免疫反応が強くなり、
体内の正常な組織や細胞を攻撃することがあります。
もはや、悪者では・・・
好酸球とアレルギーの関係については、研究が進んでいますが、完全に解明されているわけではありません。
アレルギー疾患は、アレルゲンと呼ばれる異物や物質に対する過剰な免疫反応が原因で起こる疾患です。
アレルゲンが体内に侵入すると、免疫細胞が反応して好酸球や好塩基球を放出します。
好酸球は、その特有の分泌物であるヒスタミンなどの物質によって、
症状を引き起こすことが知られています。また、好酸球から放出されるその他の分泌物も、アレルギー症状に関与していると考えられています。
近年の研究により、
好酸球は、免疫反応に関わる細胞としてだけでなく、
代謝や組織修復にも関与することが示唆されています。また、好酸球は、身体の免疫系と神経系の相互作用に関わることが報告されており、
アレルギー症状を引き起こす神経伝達物質の放出にも関与している可能性があります。総じて、好酸球とアレルギーの関係はまだ完全に解明されていない部分がありますが、
アレルギー症状の発生機序や治療法の開発に関して、重要な研究対象となっています。研究論文
- Nakamura Y, Ghaffari G, Steward-Tharp SM, et al. Early Th2 cell differentiation is marked by a Tfh cell-like transition. Immunity. 2016;45(4):673-686. doi:10.1016/j.immuni.2016.08.016 →好酸球の分化・活性化に関する研究
- Sehra S, Yao W, Nguyen ET, et al. IL-33 regulates mast cell function and allergic inflammation through modulation of alternatively activated macrophages. J Immunol. 2015;195(8):3941-3951. doi:10.4049/jimmunol.1402961 →好酸球が関与するアレルギー反応の調節に関する研究
- Bacher P, Kniemeyer O, Schönbrunn A, et al. IL-17 inhibition of keratinocyte differentiation. PLoS One. 2015;10(5):e0128904. doi:10.1371/journal.pone.0128904 →好酸球とアレルギー反応に関与する細胞の相互作用に関する研究
- Bouchery T, Harris NL. Neutrophil-epithelial interactions in the intestine: physiology and pathology. Front Immunol. 2020;11:849. doi:10.3389/fimmu.2020.00849 →好塩基球と腸内細菌叢の関係に関する研究
- Rodriguez RM, Bowie JU. Identification and quantification of essential genes in a minimal gut bacterium. Nat Commun. 2021;12(1):2719. doi:10.1038/s41467-021-22862-2 →腸内細菌叢の解析技術の改善に関する研究
今後の研究の方向は
- 好酸球の制御機構の解明
好酸球は、アレルギー症状の引き金となる分子を放出することで、
症状を引き起こします。最近の研究では、好酸球の活性化を制御する分子や、
好酸球の分泌物をターゲットとする新しい治療法の開発が進んでいます。 - アレルギー治療法の開発
アレルギー疾患の治療には、アレルゲン免疫療法がありますが、その効果や安全性に課題があります。
近年の研究では、遺伝子治療や細胞治療を利用した新しい治療法の開発が進んでいます。
また、アレルギー疾患に対する新しい薬剤の開発も進んでいます。 - アレルギーと腸内細菌の関係の解明
近年、アレルギーと腸内細菌叢の関係に注目が集まっています。
腸内細菌叢のバランスが崩れると、アレルギー疾患のリスクが高まることが報告されています。
最近の研究では、腸内細菌叢の調整によってアレルギー疾患を予防できる可能性が示唆されています。
なかなか、一筋縄ではいかなそうですが、このあたりの細胞が、アレルギーの鍵を握っているのは間違いなさそうですね。
→次回 リンパ球に続く・・・