新・健康診断の読解マニュアル⑯ ~総ビリルビン・直接ビリルビン・間接ビリルビン~

~総ビリルビン・直接ビリルビン・間接ビリルビン~

ビリルビンの数値の正常範囲は以下の通りです。

  1. 総ビリルビン (Total bilirubin): 0.3 – 1.2 mg/dL

  2. 直接ビリルビン (Direct bilirubin): 0.0 – 0.3 mg/dL

  3. 間接ビリルビン (Indirect bilirubin): 0.2 – 0.8 mg/dL

これらの数値はあくまで一般的な基準であり、年齢、性別、体格などによって正常値は若干異なることがあります。
また、測定方法により値が異なることもありますので、それぞれの施設の基準値に従うべきです。

メカニズム

ビリルビンは体内で使われた赤血球が壊れるときに生成されます。
まず、破壊された赤血球から生成されたヘモグロビン(血液の赤色を与える物質)が、初めて間接ビリルビンとしてリリースされます。
しかし、この間接ビリルビンは水に溶けないため、体から排出することができません。
そのため、間接ビリルビンは肝臓に運ばれ、特殊な化学反応を経て直接ビリルビンとなります。
この直接ビリルビンは水溶性なので、尿や便として体外に排出されます。

  1. 総ビリルビン:
    総ビリルビンの数値が増える原因は主に三つあります。
    一つ目は、体内で赤血球が過度に壊れること(例えば、溶血性貧血)で、
    これによりビリルビンの生成が増え、血液中のビリルビン濃度が上昇します。
    二つ目は、肝臓の障害(例えば、肝炎、肝硬変)で、これによりビリルビンを直接ビリルビンに変換する能力が低下し、
    血液中のビリルビンが増えます。
    三つ目は、胆のうや胆管の問題(例えば、胆石症や胆管がん)で、
    これにより直接ビリルビンの体外排出が妨げられ、血液中のビリルビンが増えます。
  2. 直接ビリルビン:
    直接ビリルビンの数値が増えると、それは主に肝臓から胆のうへのビリルビンの排出に問題があることを示します。
    胆のうや胆管が塞がれると、ビリルビンが体外に排出されずに体内に蓄積し、結果として血中の直接ビリルビン値が上昇します。
  3. 間接ビリルビン:
    間接ビリルビンの数値が増えると、
    それは通常、赤血球が過度に壊れているか、
    あるいは肝臓が間接ビリルビンを適切に直接ビリルビンに変換できていないことを示します。

調べる目的

ビリルビンは、体内で赤血球が分解される過程で生成される物質です。
その役割と、数値を調べる意義については以下の通りです。

  1. 総ビリルビン:
    総ビリルビンの値は、直接ビリルビンと間接ビリルビンの合計値であり、全体のビリルビン濃度を示します。
    肝臓や胆のうの病気、または赤血球の過度の分解が疑われる場合に測定されます。
  2. 直接ビリルビン:
    直接ビリルビンは肝臓で処理され、胆のうへ排泄されるビリルビンです。
    肝臓や胆道の疾患、特に胆道閉塞が疑われる場合に重要となります。
  3. 間接ビリルビン:
    間接ビリルビンは肝臓でまだ処理されていないビリルビンであり、
    通常は肝臓により処理され、直接ビリルビンとなります。
    しかし、肝臓の異常や赤血球の過度の分解があると、間接ビリルビンが増加します。

 

日本の参考文献:

  1. Tadashi Inuzuka et al. “Clinical significance of serum bilirubin levels under physiological condition” – Intern Med. 2018;57(11):1565-1571.
  2. Makoto Nakamuta et al. “Clinical utility of serum indirect bilirubin levels to distinguish biliary atresia from other causes of neonatal cholestasis” – Dig Dis Sci. 2011;56(12):3712-3717.
  3. Yukihiro Sanada et al. “Usefulness of determining des-gamma-carboxy prothrombin and total bilirubin in predicting the outcome of patients with primary biliary cirrhosis” – Intern Med. 2006;45(14):853-857.

海外の参考文献:

  1. Lee WM. “Diagnosis and treatment of acute liver failure” – Ann Hepatol. 2013;12(2):183-189.
  2. Huang J, et al. “Role of liver function tests in diagnosis of biliary atresia” – Hepatol Res. 2016;46(8):789-795.
  3. Stocker R, et al. “Bilirubin is an antioxidant of possible physiological importance” – Science. 1987;235(4792):1043-1046.

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