尿酸
尿酸の血中濃度の正常範囲
男性:3.4~7.0mg/dL
女性:2.4~6.0mg/dL
これは参考程度に留めておいて結構です。尿酸の基準値を7mg/d以下に置く理由は、血漿中の尿酸の溶解度を基準にしたものです。通常の条件では、血漿の中で尿酸は7mg/dLまでは溶けます。しかし、これを超えると結晶になる傾向があります。
〜公益財団法人痛風・尿酸財団より〜
尿酸は体内で産生され、主に腎臓で排泄される物質です。
プリン体の代謝産物であり、健康な身体の機能において必要な要素の一つです。
ただし、その数値が適切な範囲を超えると、健康に対するリスクが生じます。
1. 正常な数値:
男性では、通常、尿酸の血中濃度は3.4~7.0mg/dLが一般的な参考値です。女性では、2.4~6.0mg/dLが一般的です。
2.尿酸値が正常範囲を外れる主な原因:
- 高尿酸血症:尿酸値が高い状態です。主な原因は以下の通りです:
– 食生活の乱れ:プリン体を多く含む食品(レバー、アンチョビ、イワシ、サバなど)を大量に摂取すると、尿酸値が増加します。
– アルコールの過剰摂取:アルコールは尿酸の排泄を阻害し、尿酸値を上昇させる可能性があります。
– 肥満:肥満は尿酸値を上昇させるリスクを増加させます。これは、肥満が尿酸の生成を増加させ、排泄を阻害するためです。
– 特定の薬物:利尿薬や抗がん剤などの一部の薬物は尿酸値を上昇させる可能性があります。 - 低尿酸血症:尿酸値が低い状態です。主な原因は以下の通りです:
– 遺伝的な要素:特定の遺伝的疾患は、尿酸の生成や排泄に影響を与え、尿酸値を低下させる可能性があります。
– 腎臓の病態:腎臓の病気や腎機能の低下は、尿酸の排泄を増加させ、尿酸値を低下させる可能性があります。
– アルコール中毒:アルコール中毒は尿酸の排泄を増加させ、尿酸値を低下させる可能性があります。
– 特定の薬物:一部の薬物、特に尿酸排泄促進薬は尿酸値を下げます。
3. 検査の意義:
尿酸値の検査は、主に高尿酸血症や痛風の診断に用いられます。
これらの病態は、尿酸の体内での排泄不足や過剰な産生によって引き起こされます。
4. 放置した場合のリスク:
高尿酸血症は、痛風や腎石症のリスクを高めます。
また、長期的には、心血管疾患のリスクも増大します。
尿酸値が高いと、細胞性ストレスが増大し、酸化ストレスが増えることが示されています。
これが動脈硬化の進行に寄与すると考えられています。
5. 参考にした文献:
日本:
– 石黒直樹他. “尿酸と心血管疾患”. 循環器内科, 2014; 79(8): 731-737.
– 三浦大介他. “痛風と尿酸代謝異常”. 臨床総合内科, 2015; 40(10): 1934-1940.
– 大西隆. “尿酸値の管理と治療”. 日本医師会雑誌, 2016; 145(3): 537-541.
海外:
– Johnson RJ, Rideout BA. “Uric acid and diet–insights into the epidemic of cardiovascular disease”. N Engl J Med, 2004; 350(11): 1071-1073.
– Maynard JW, et al. “The incidence and prevalence of gout in Maryland”. Arthritis Rheum, 2007; 57(8): 1503-1507.
– Zhu Y, et al. “Prevalence of gout and hyperuricemia in the US general population: The National Health and Nutrition Examination Survey 2007-2008”. Arthritis Rheum, 2011; 63(10): 3136
-3141.